青べか物語

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 随分以前からタイトルは覚えていましたし、舞台となった土地が
あたしにも馴染みのある所なので何時かは読んでみようと思いつつ
もう何十年もほったらかしでした。

 今回図書館で目にして、まるで長い間の宿題を果たす様な気分で
読み始めました。

 山本周五郎はなんだか手当たり次第に本を読んでいた頃、何冊か
まとめて時代小説を読んだのですが (おかげで個々の作品の区別が
付かず、頭の中に周五郎ワールドがなんと無く出来あがっている)
この本だけは何と無く読んだ気になっていて手が出なかったのであ
ります。

 で、どうだったかと言うと、今読んでみて良かったって感じです
かな。あたしが生まれ育った処がこの本にも地名だけが一度だけ出
て来る、つまり、物語の舞台にほど近い場所で、しかも漁師街に隣
接する処だったもんで、似てるんですよ、子供の頃周りの人たちが
喋っていた言葉に、勿論時代もだいぶ下って、これほどあからさま
に方言っぽくは無かったですけど。なんだかあのころ遊んだ友達の
おじいちゃんおばあちゃんがこんな話し方だった様な気がします。

 本の最後の方で、三十年後にその地を訪れた作者が、あまりに
変わってしまった事に戸惑った事が書かれていますが、あたしは
多分その頃産まれたんでしょうな。 なんだか、本の中の世界と
地続きの様な気がしてしょうがない。

 でもまさか、それから更に数十年後、あの場所に『夢と魔法の国』
が出来るとは、登場人物の誰も思わなかったでしょうな、あたしも
思いませんでした。 何にせよ、今日は昨日の続きで、昨日は一昨日
の続きで、或る一つの出来事がどんどん拡散して、元の姿が見えなく
なっても、その出来ごとの欠片は何処かに残っているもんなんだな、
なんて、一寸感傷的に思うのでした。
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パパと怒り鬼

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 信田さよ子さんのブログで紹介されていたので読んでみました。
『パパと怒り鬼 ―話してごらん、誰かに―』

 殴るお父さんの子供「ボイ」のおはなしです。大きく優しい「パパ」、
その「パパ」の向こうの地下室からいつ、何のきっかけで出て来るのか
判らない「怒り鬼」そして部屋のすみで椅子に化けてしまう「ママ」
 読んでいるあたしも息苦しくなるような出口の無い「しあわせ家族」
「ボイ」が何もかも打ちあけた「白い犬」に促されて書いた切なく
やるせない手紙・・・

 今この時にも小さな手を痛くなるほどにぎりしめている数え切れない
「ボイ」の事を思うと居ても立っても居られない気がします。 だから
あたしは「王さま」では無いけれど、「赤いジャケットを着た、おとなり
の女のひと」か、「白い犬」にならなれるかも、それも無理ならせめて
「茂みのスズメ」にはならなくちゃと決意するのでした。

 ところで、今日は「十五夜」 「中秋」で有ります。

 他所の子供が気楽に縁側のお団子盗みに来れる程、家族はユルユルで
アケッピロゲが良いのかも、と、思うのでした。


 

 
 

女たちよ!

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 先日、図書館で堀井憲一郎さんの「深夜食堂の勝手口」を借りました
「おぉ、赤いウインナー良いな~」とか「ふ~ん、大根と卵と牛筋の
おでんか~」とか、楽しく読んだのでありますが、ナポリタンの処で
伊丹十三さんの「女たちよ!」の話が出てまいりました。

 あ~懐かしい、中学生だったか高校生だったか、兎に角その頃読みました。
で、随分影響された様に思います。今思い返すと少々赤面・・・。

 で、早速読み返してみました。面白かった、まあ、あれから数十年経って
おりますから、今の常識に照らせばこの表現はちょっと…てな処も無い訳
では無いですが、本格とは何か、正しく考えるとは何か、てな事のヒント
にはなった様な気がします。 その辺り今でもあたし、成長無いな、と思い
つつ再読した訳ですが…今でもフムフムと首肯する事も多々ある半面
いや~こんな蘊蓄を語る高校生(あたしよ)随分いやらしく恥ずかしい奴
だな~、ホント恥ずかしい。   まさに吉行淳之介さん曰く
「キャッと叫んでろくろっ首になる」って感じで有ります。

 で、ナカナカ抜け出せないんだこれが、数年後、かの伊丹氏がマヨネーズの
コマーシャルに登場した時など、「この変節漢め!」(失礼)と、思ったりして。

 思い返せば幾星霜・・・

 で、今は、良~く茹でて、良~く炒めたふわふわのスパゲッティを啜りつつ
「コマーシャルに、出てくれて良かったな~」と、思うのでした。

すーちゃん

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 今朝の新聞に出ておりました、「スーちゃん」の最新刊の広告
楽しみにしてたんですよね~、いや待てよ、ホントのところ出る
とは思って無かったかもしれない、いや、勿論「スーちゃん」の
続きが読めるのは嬉しいのですが…何でだろう…。

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 もう今まで何度も読み返した本なのに中に出てくる「すーちゃん」
「まいちゃん」そして「さわ子さん」のモノローグに何度読んでも
激しく首肯させられてしまうのは何でだろう、しかも、読むまでは、
どころか、読んだ後でさえ、自分には考えもつかない事だな~と、
思うのに、「うんうんナルホド」と、思ってしまうのであります。
 その答えは・・広告の内田樹さんのコメントで判りました。
自分が男でバカでデリカシーが無いからなんだ~。
 うん、納得。

 じゃ、何で完結だと思っちゃったんだろう、それは多分、
二冊目の「結婚しなくていいですか。」の、最後のエピソード
が、あたしにはとても大事な事の様な気がしたからかしら。
うまく書けないですけど、こう云う事がこの本のテーマなのかな~
と、思っていたからなのかもしれないっす。ナルホド。

 まあ、でも考えてみりゃ、始まった物語は終わる事は無いんですよね、
その物語に出てきた人物や、物の数だけ過去が有って、そして未来が
有るわけだし、物語を読んだ人の数だけその物語の「それから」が
始まるわけですから。
 それが本に成ろうとアルマイト…、(ダジャレかよ!)
続きは有るワケデアリマス。

 いやそれはサテオキ、物語の続き、読むのが楽しみだなア、
と、思うのでした。

 

 

代書人バートルビー

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 お久しぶりで有ります、年の瀬、皆様如何御過ごしの事と
存じます…て、ナンかイマイチピンとこない日本語で有ります。

 それはさておき、普段あんまり翻訳ものは読まないのですが
と、言うより、片仮名の名前が覚えられなくて、読めない、
と言うのが正しいですかね。 

 そんな数少ない読書歴の中で、何ともコウ、引っかかる後味が有って
つい、読み返してしまう一冊で有ります。

 お話は、ウォール街の弁護士事務所の所長から見た、新しく雇い入れた
代書人バートルビーのそれからの顛末なのですが…

 実は、私の理解力が無い所為なのでしょうが、何度読んでも
意味が解らない。

 勿論、日本語で書いてありますし、特別難しい言い回しも無いですし、
どちらかと言えば、翻訳ものが苦手なアタシでも、サクサク読めて、
しかも面白い。 …なのに解らない…。

 この、面白いのに解らないって云うのが不思議で不思議で、
一寸、読書の醍醐味ってカンジ~(何だこりゃ)

 どなたか、この本はコレコレこう云う意味なんだよ、と、
やさし~く教えてもらいたい、けど、そうしたらこのムヅ痒い感じ
が無くなってしまいそうでしたくない気もするのですが。

 で、いったいお前は何が言いたいのか、もっときちんと説明しなさい、
と、言われたら、バートルビーの様に
「せずにすめばありがたいのですが 」
なんて、答えてみたいなア、と、思うのでした。